猿投山北断層

 

(さなげやまきただんそう)

【自然】

猿投山北断層は、岐阜県中津川市東部から愛知県長久手市までの約51kmに渡って分布する恵那山-猿投山北断層帯の西半分、約22kmを構成する活断層である。本断層に沿っては小河谷の明瞭な右屈曲が多数みられることなどから、少なくとも断層の南半分では断層面は南東傾斜の高角な右ずれ断層であり、大局的には猿投山が分布する南東側を隆起させる上下変位を伴っている。本断層の南西部にあたる長久手市は、新興住宅地などが多数立地する地域である。長久手市の土地区画整理事業や愛知産業科学技術総合センターなどは、断層通過地点に公用地を設定し、また断層を避けて施設を建設することで、断層変位による建物の破壊を回避する工夫が施されているところもある。猿投山北断層の過去の活動時期については、瀬戸市東白坂において愛知県などによって実施されたトレンチ調査の結果、最新活動時期は約3500年前以降、4世紀以前とされている。一方文部科学省地震調査研究推進本部による評価では、最新活動は約1万年から5400年前と推定しており、最新活動以前の活動を含めて見解の相違が生じている。