山菜

 

(さんさい)

【民俗】〈食生活〉

市域山間部では、さまざまな種類の山菜が利用されてきた。代表格はワラビとゼンマイである。ワラビのあく抜きには藁灰や木灰がよく使われた。布に包んだ灰をワラビの上に置いて熱湯をかけてしばらく置く、という方法が多い。笹戸(旭地区)では塩漬けにしておき、食べる時に塩抜きすると、灰汁も一緒に抜ける、といった方法も聞かれた。ゼンマイは先端の綿状の部分を取り除いてから茹で、少し干してから茹で汁をつけて揉む。少し乾いたらまた茹で汁をつけては揉むという作業を1日3~5回、3日ほど繰り返し、最後によく干して保存した。手間がかかるものの、ワラビよりもゼンマイの方が美味しいということで好まれていた。このほかに利用度が高いのはタラの芽やコシアブラであった。コシアブラはトウダイノメと呼ぶ地区が多く、ほかにイモノメ(田津原・旭地区)、シャベ(小原北)、コセダラ(武節・稲武地区)などといった呼び名がある。天ぷらのほか、味噌和えやごま和えにする。コゴミは御蔵(足助地区)では「山菜の最高級」とされるが、美味しく食べられる時期は短いという。このほか、フキやオゴ(ホクチアザミやハバヤマボクチ)、セリ、ウド、タンポポやアザミ、ノカンゾウ・ヤブカンゾウの若い芽、ユリ根、イタドリ、ユキノシタなどが利用されていた。旭地区ではツリガネニンジンをワクナと呼び、やわらかい若芽を茹でて食べた。ヤマノイモ(自然薯)は栽培もあるが、山で天然ものをとってくるのがもっとも美味しいとされる。平野部では野草の利用はほとんど聞かれず、ツクシくらいであった。山菜の豊富な山間部では、ツクシはハカマを取るのが面倒なため、あまり好まれていない。山間部、平野部とも利用されるのはタケノコで、主にモウソウ(モウソウチク)、ハチク、カラコダケ(マダケ)などであった。掘ってきたらすぐに茹でるのが肝要であり、煮物のほか、五目飯(シタジメシ)の具にすることが多かった。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻348ページ、16巻353ページ