産馬講習所 

 

(さんばこうしゅうじょ)

【近代】

段戸山にあった三河産馬改良の中心施設。前身は愛知県令・安場保和の勧めを受けた古橋義真が中心となり、明治11(1878)年10月に夏焼村(稲武地区)に創設された産馬学校。校長(のち所長)は、名古屋鎮台から派遣された陸軍騎兵大尉・奥田賢英が務めた。12年4月に産馬講習所と改称し、同年9月に段戸山(北設楽郡)へ移転。この移転の際、段戸山官林(のち御料地)32町歩を借用しており、17年に100町歩を追加した。産馬学校・講習所の役割の一つは、民間に種牡牝馬を提供する繁殖事業であり、12年夏に奥田が東北地方から改良用馬61頭を買いつけたことに始まる。その後、農商務省・陸軍省から資金や種馬が支援されたほか、皇室からも御料馬・墨流号などが下賜された。もう一つの役割は、産馬改良に関する講習事業であり、開校時に11人が入学し、16年に2人が卒業している。19年8月に講習事業が廃止され、産馬講習所は段戸種畜場に改められた。

『新修豊田市史』関係箇所:4巻180・307ページ、12巻333ページ

→ 段戸種畜場古橋義真