(さんりんじいん)
【考古】
仏教寺院は、立地する地形によって平地寺院と山岳寺院に区分される。平地寺院は古代寺院以来の規則的な伽藍配置を志向したのに対し、斜面地に造成された山岳寺院の場合は丘陵の平場群に諸施設が配置された。仏教では山林修行を重視するので、山岳寺院はその修行場という意味も含めて山林寺院とも呼ばれる。旭地区の牛地町小馬寺跡は、鎌倉・室町時代の山林寺院である。このほか、猿投地区の猿投山の山中にある猿投神社西宮の境内地およびその周辺の平場群には西ノ宮遺跡(標高450~500m)があり、中世瓦が採集されていることから山林寺院の存在が想定されている。また松平地区の六所山山頂近くに鎮座する六所神社上宮境内周辺(標高590m前後)においても中世瓦が採集されており、近隣に「宝生院」なる寺院の伝承地もあり、神宮寺としての山林寺院跡とみられている。
『新修豊田市史』関係箇所:2巻170ページ、20巻393・584ページ