耳環

 

(じかん)

【考古】

耳環は、金色や銀色を呈する環形の金属製耳飾り。金色を呈すものを金環、銀色のものを銀環とも呼ぶ。金製・銀製の丸棒を環状に曲げたものや、銅製の丸棒を環状に曲げてその表面に鍍金または鍍銀を施したもの、金・銀の薄板で覆った銅芯金張製品・銅芯銀張製品がある。また、管を曲げて芯とした中空金銅製品・中空銀銅製品などもあり、いずれも合わせ目は切れ目として残している。古墳時代の中期に現われ、後期に盛行した。初期には細環で垂飾付品がみられたが、やがて垂飾を欠いた太い環形品へと移行した。耳環の着装表現は人物埴輪の男女にもみられる。市域では、27基の古墳や高橋地区岩長遺跡の竪穴建物SB216(2点、7世紀前葉)などから出土している(写真:高橋地区山ノ神古墳出土品)。中期古墳からの出土例はなく、いずれも後期古墳からの出土で、最古例は6世紀半に造営された挙母地区豊田大塚古墳出土の銀環(銀製の細環)3点と金環(銅芯金張製の細環)2点である。また、出土例のほとんどは銅芯金張製品・銅芯銀張製品で、市域では中空のものや金製の耳環はみられない。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻348・375・459・469・474ページ、19巻118・560ページ

→ 岩長遺跡装身具豊田大塚古墳