『史記集解』

 

(しきしっかい)

【典籍】

『史記』は中国・前漢の司馬談・司馬遷父子によって編まれた歴史書であり、黄帝から司馬遷が生きていた前漢・武帝までの事跡を記す通史である。『史記』の代表的な注釈には、劉宋・裴駰の『史記集解』、唐・司馬貞の『史記索隠』、張守節『史記正義』があり、これらを合わせて三家注と呼ぶ。猿投神社所蔵の『史記』は鎌倉時代の写しで、巻子装の4巻が残る。裴駰の『史記集解』が双行で付されており、訓点・返り点はないものの、行間・欄外・紙背に書き込みが確認できる。書き込みは司馬貞の『史記索隠』や反切、また藤原氏・菅原氏・大江氏ら、貴族のものと考えられる注釈である。これらの注釈は部分的に室町時代の禅僧・月舟寿桂の所蔵した上杉家蔵本『史記集解』や、さらに時代の下る宮内庁書陵部蔵・三条西実隆書写本『史記』の書き込みとも内容をほぼ同じくするものを含む。本資料は3人の書き手によって書かれており、そのうちの1人は鎌倉時代の明経道の博士家・清原家のもとで書写作業をしていた宋人呉三郎であると考えられる。国指定文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:特別号18・36・101ページ

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