敷島自治区 

 

(しきしまじちく)

【現代】

旭地区の自治区の1つである敷島自治区(組数9)は、平成22(2010)年3月に自治区の将来ビジョンである「しきしま・ときめきプラン2010」を策定した。そのきっかけとなったのが平成21年8月から約2年半かけて実施された豊田市と東京大学による緊急雇用対策事業「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」である。都市部から10名の若者が空き家で共同生活をしながら、有機農業に取り組み、農山村での暮らしを実践し、主体的に活動していたことが、地元でも「地域の将来像を描こう」という動きにつながった。同プラン2010は、都市との交流、移住者の受け入れを柱としたプラン内容で、「しきしまサポーター」制度を導入して農業体験などの交流人口を現在の年200人から1,000人に増やすことなどが目標とされた。プランは5年ごとに見直され、平成27年に策定された「プラン 2015」からは自治区をあげて移住者受け入れの取り組みが本格化した。また、プランの理念をコンパクトにまとめた「しきしま暮らしの作法」が定められ、全戸配布することで地域住民の意識醸成も図られた。プランを策定してから10年間で目標の2倍にあたる40世帯98人が移住し、子育て世代が多いことから将来の児童数も増加する見込みとなっている。敷島自治区の地域づくりの特徴は、移住者を含めた地域住民などの各主体がさまざまなプログラムを企画し、同地区に関心を持ってもらうために都市住民と交流を図るところにある。令和2(2020)年3月には、3期目となるプラン2020が策定された。敷島自治区は移住者が増加したとはいえ、10年後の人口は800人を下回る見込みのため、少人数社会での暮らしを支え合うシステムの構築や都市住民と農業生産者が連携して進める農地保全、集落行事や組織の再編を図ることを目指した3つの重点プロジェクトが示され、人口減少社会を見据えた地域づくりを展開していくことになった。市町村合併後の敷島自治区のこうした取り組みは、過疎地域の活性化に取り組み、優れた成果を上げた過疎対策の先進的・モデル的事例にふさわしいとして、令和2年過疎地域自立活性化優良事例表彰における「総務大臣賞」を受賞した。

『新修豊田市史』関係箇所:5巻707ページ

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