子午面循環

 

(しごめんじゅんかん)

【自然】

地球を取り巻く大気循環は、東西循環が緯度に平行な流れに対し、子午面循環は経度方向の循環系である。対流圏は、地球の自転による遠心力によって低緯度ほど厚く、赤道に近い熱帯地域が17~18km、温帯地域に属する中緯度は12~13km、および寒帯地域の極地方では7~8kmである。したがって、子午面循環は低緯度ほど循環規模が大きく、低緯度から高緯度にかけてハドレー循環、フェレル循環、極循環の3つの循環系から成り立っている。ハドレー循環は熱帯海域から中緯度に発達する循環系で、熱帯雨林と中緯度の亜熱帯高圧帯を形成する最も大きな循環系で、地球温暖化に伴う熱帯海域の海面温度の上昇でその規模が増し、異常気象の原因ともなっている。中緯度の内陸部での砂漠化は、ハドレー循環の下降域にあたるためで、小麦生産地域の減少による食糧生産地域への影響が大きくなってきているのが現状である。これに対し、フェレル循環は、ハドレー循環の北側に沿って形成される時計回りの循環で、間接的な循環系である。したがって、ハドレー循環規模が大きくなるとフェレル循環は高緯度側に移動する。このハドレー循環とフェレル循環の接する収束帯が亜熱帯ジェット気流である。亜熱帯ジェット気流の強風軸が200hPa面と高いのはそのためである。これに対し、極から亜寒帯にかけての循環系が極循環である。極循環はハドレー循環と同じ直接循環で、反時計回りの循環系でフェレル循環との収束帯が寒帯前線ジェット気流である。したがって、極循環とフェレル循環の収束帯であることからその中心軸は500hPaである。一般に、日本列島の上空寒波襲来の目安となる高さ(約5500m)として報道されている。寒帯前線ジェット気流は、北アメリカ、ヨーロッパ、および東アジアで蛇行する3波波動をなしているが、近年は2波動で北アメリカ、および東アジアでの極寒気の南下が起こるようになってきた。これも気候変動による異常気象の一環である。地球温暖化は低緯度側と高緯度側との気温較差による熱交換で、偏西風の流れが東西循環から南北循環に替わりつつあり、水陸の分布と子午面循環との関係はまだ十分な研究がなされていないのが現状である。ただ、ハドレー循環が強まる夏季は亜熱帯大気が日本列島を覆うようになり、また、極循環が強まる冬季は亜寒帯大気が南下して厳しい寒さをもたらすことは事実である。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻89ページ