(しぜんていぼう)
【自然】
河川が氾濫すると河道に沿って運ばれてきた砂や礫など掃流物も河道を外れ周囲に流出する。河道を外れることで河川の掃流力は一気に低下するため、粒径の大きな重い粗粒物質が選択的に河道に沿って堆積することになる。これを氾濫の度に繰り返すと、河道に沿って微高地が連続的に形成される。この地形を自然堤防と呼ぶ。自然堤防は、礫や粗砂など相対的に粗い堆積物によって構成されるため、水捌けが良い高燥地となることから、土地利用は畑や果樹、集落や道路などに利用されることが多い。豊田盆地の矢作川流域では、後背湿地との比高は約1~2m程度あることから、相対的には洪水の危険性が低く、伝統的に集落として利用されてきた。矢作川流域には河道の両側や旧流路に沿って連続する規模の大きな自然堤防をみることができる。豊田盆地で最も規模の大きな自然堤防は、矢作川の右岸に分布し、桜町や元城町などが立地する付近である。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻54ページ