(じぞうぼさつ)
【美術・工芸】
地蔵菩薩は、大乗仏教においてインドの大地の神・プリティヴィーの信仰を背景として登場した菩薩の一尊格で、インドでは通常の菩薩形の姿であらわされるが、中国以東では剃髪し袈裟を着けた僧侶の姿であらわされる特徴がある。地蔵菩薩は、釈迦入滅後、弥勒菩薩が下生するまでの間、六道の衆生を救済する菩薩として位置付けられており、特に地獄に墜ちた人々を救済することができる菩薩としても信仰を集める菩薩である。また、安産を祈願するほとけや子供の守りほとけ(子安地蔵)としても信仰される。このほか、六体の地蔵菩薩を一組とした六地蔵や、甲冑を身に着けた勝軍地蔵という姿での地蔵菩薩の信仰もある。地蔵菩薩は、その恵みの象徴として宝珠や、六道世界を巡る修行者の姿をあらわす象徴として錫杖を執る姿であらわされることが多い。