シデコブシ

 

(シデコブシ)

【自然】

モクレン科モクレン属の落葉小高木もしくは低木。展葉前の3~4月に白色~淡紅色の花を咲かせる。花の美しさから、ヒメコブシの名で街路や家庭の庭に植栽されることがある。花弁は12~24枚程度で、時にそれ以上となる。この花弁の様子を神事に使う紙垂に例えた。中国原産と誤認されたこともあったが、東海地方の固有種で、愛知県・岐阜県・三重県にのみ分布する。植田邦彦の定義した東海丘陵要素植物の一つで、その代表的な種である。丘陵地の湿地林タイプの湧水湿地や、湿性草原タイプの湧水湿地の縁辺によくみられる。自生地の減少から、環境省のレッドリストで準絶滅危惧、愛知県のレッドリストで絶滅危惧II類。とはいえ、市域にある湧水湿地では70か所近くで確認されており、市内では比較的普遍的な種。琴平町シデコブシ自生地は県の天然記念物に指定されている。学名は、Magnolia stellata (Siebold & Zucc.) Maxim.


『新修豊田市史』関係箇所:23巻369ページ

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