(じどうしゃこうぎょうとし)
【現代】
都市の基盤となる産業が自動車産業に特化した工業都市のこと。自動車工業は、萌芽期においては一企業による一貫生産が行われていたが、生産規模の拡大と効率化が図られるようになると、集積の利益のもと、最終組立工場を核としてさまざまな部品を製造する多くの協力工場や関連工場が集積する。このように、自動車生産に関わる工場が累積的に立地することによって自動車工業都市が形成される。トヨタ自動車のように、自動車会社は創業地に拠点を持ち続ける場合が多々あり、創業地の周辺に関連する企業が集積して企業城下町と呼ばれるような状況を作り上げる。世界に目を転じると、フォードやGMの企業城下町でもあったデトロイトやかつてフィアットの企業城下町であったトリノなどが自動車工業都市として有名であった。フォルクスワーゲンの生産拠点であるヴォルフスブルクやベンツのシュツットガルト、BMWのミュンヘン、ボルボのイェーテボリなども自動車産業の集積する企業城下町として成立しており、新興国においても海外自動車メーカーの進出に伴い各所で自動車産業の集積地が形成されつつあり、自動車工業都市として発展を遂げている都市も少なくない。
『新修豊田市史』関係箇所:5巻15・101ページ