(しみんのうえん)
【現代】
主に都市住民がレクリエーションや生きがいづくり等のために、小面積の農地を用いて野菜や花を育てるための農園のことをいい、市町村や農協、農業者等によって開設されている。「ふれあい農園」や「農業体験農園」等のさまざまな名称で呼ばれる。平成元(1989)年に、政府は「特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律」(特定農地貸付法)を制定して、自治体や農協が農地を都市住民に市民農園として貸すことができる農地法上の特例を設け、翌2年に市民農園整備促進法を制定して、農機具庫や休憩所等の附帯施設を備えた市民農園の整備を促した。さらに、平成17年に特定農地貸付法を改正して、自治体・農協以外の者も市民農園を開設できるようにした。豊田市では、昭和48(1973)年にレジャー農園の名称で高岡町に市民農園が開設され、翌49年に西山町にも開かれた。当時豊田市では、耕作放棄地が年々目立つようになり、その再生利用方法として市民農園が選ばれた。レジャー農園では、苗の植付や育て方の技術指導もなされた。その後、豊田市は、昭和52年から「空地の環境保全に関する条例」に基づいて借り受けた土地を家庭菜園として整備し、市内5農協と西山・高岡レジャー農園の代表者による豊田市家庭菜園協会に運営を委託した。レジャー農園・家庭菜園の募集区画数は、昭和55年2月の570から昭和57年5月に812へ増えた後、昭和59年に8農園766区画、昭和62年に9農園781区画と減少・横這いで推移した。その後、平成3年と4年に新たに71区画と40区画の家庭菜園が整備され、その平均入園競争倍率は3.7倍と高く、住宅地の密集する大林町では平成6年に18.5倍にもなった。豊田市は、平成16年1月に愛知県と共同で構造改革特別区域「農ライフ創生特区」の申請を行って認められ、市・農協以外による市民農園の開設を行えるようにした。これが平成17年の政府による特定農地貸付法の改正への道を開くこととなった。
『新修豊田市史』関係箇所:5巻434・585ページ
→ 都市と農村の交流