(しゃかさんぞんじゅうろくぜんじんぞう)
【美術・工芸】
『大般若経』600巻を転読する法会である大般若会は、日本では大宝3(703)年文武天皇が四大寺に読ませたことを初例とし、古くは天皇の命により鎮護国家や除災招福のために執り行われた。この法会の本尊としては、『大般若経』をはじめとする般若経典の本尊である般若菩薩や、『大般若経』を説いた釈迦如来があてられ、『大般若経』を守護する護法善神である十六善神はその眷属とされる。眷属としては他に阿難、法涌、常啼、玄奘、深沙大将、梵天、帝釈天が添えられることが多く、釈迦如来を本尊とする場合には普賢菩薩、文殊菩薩を加え、釈迦三尊とすることが一般的である。大般若会は真言宗や禅宗で盛んとされるが、豊田市においては、46件確認される釈迦三尊十六善神像のうち、39件は禅宗の曹洞宗寺院のもので、3件が真言宗寺院のものである。地域的には猿投、藤岡、旭、足助といった地区に多く残る。江戸時代以降の作例が42件、市内最古の作例は、鎌倉~南北朝時代に制作されたと推測される隣松寺(幸町)のものである。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻180・267ページ