(しゃかにょらい)
【美術・工芸】
釈迦如来とは、仏教の開祖であり、紀元前6世紀頃に実在した釈迦族の王子・ゴータマ・シッダールタが苦行の末に35歳で悟りを開き、仏陀(如来)となった状態のことを指す。ゴータマ・シッダールタの姿は、誕生後の姿、王子時代の姿、苦行中の姿、成道時の姿、説法を行う姿、涅槃に入る姿などその生涯を伝えるさまざまな姿で表現される。仏陀となったゴータマ・シッダールタの姿は、インドでは当初は人体像としてあらわされることはなく、法輪や仏足跡、菩提樹などのシンボルを用いて表現されていた。仏教が大乗仏教の段階に発展すると人体像としてその姿があらわされるようになり、出家者の姿で「三十二相八十種好」という超人的な特徴を備えた姿であらわされることが定型化していく。釈迦如来に限らず、阿弥陀如来や薬師如来など、その他の如来も基本的な姿はこの釈迦如来のイメージが基になっている。また、釈迦如来像の中には宝冠釈迦如来と呼ばれる髻を結い宝冠を被る姿の釈迦如来像もある。