主食

 

(しゅしょく)

【民俗】〈食生活〉

かつては米作農家であっても、換金対象の米はできるだけ食べないようにし、普段の主食は麦飯であった。麦の混合率は地区や家によって差があり、市域平野部ではおおむね麦3割程度、山間部では半々という家もあった。麦飯に入れる麦は、二毛作で栽培された大麦か裸麦で、大麦の方が収量は多いが、裸麦の方が実と皮が剥がれやすく精麦が楽だったという。山間部では精麦に水車が使われ、平野部では水車の代わりに早くから精麦機や押麦が普及していたようである。米麦の不足を補うための混ぜ飯は、一般的にはサツマイモがよく利用された。山間部ではリョウブの葉なども使われた。麺類はうどんが日常食としてよく食べられていた。二毛作で小麦を収穫すると農協や製麺所へ出荷し、うどん券と呼ばれる引換券と交換することができた。うどんは醤油味の煮込みが多く、季節の野菜をたくさん入れた。夏にはツユツキといって、冷やしたつゆをつけて食べることもあった。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻301ページ、16巻297ページ