『春秋経伝集解』

 

(しゅんじゅうけいでんしっかい)

【典籍】

儒教経典『春秋』およびその解釈である『春秋左氏伝』(『左氏伝』)に対し、西晋の杜預が施した注釈書であり、全30巻。『春秋』は中国・春秋時代における魯国の年代記で、『左氏伝』は魯国のみならず各国の事跡を記す。唐代より杜預の『集解』が『左氏伝』理解の主流となり、それ以前の注釈書は散逸した。日本にあっては大宝律令以降、大学寮における科目の一つに『左氏伝』が選ばれ、明経道の博士家による研究と教授が行われた。猿投神社本は鎌倉時代に写された巻子装1巻の残欠本。杜預の序、巻一の冒頭、巻二の一部のみが残る。博士家の一つである清原家の学説を伝える『集解』のテキストが宮内庁書陵部に現存するが、その中にみえるものと同様の書き入れが本資料にも確認でき、清原家の説を伝える資料の一つと見なすことができる。本資料は2人の書き手によって描かれており、そのうちの1人は清原家の許で筆写作業をしていた宋人呉三郎であると考えられる。国指定文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:特別号18・29・98ページ

→ 猿投神社の漢籍