白鳥社舞台

 

(しらとりしゃぶたい)

【建築】

有間町(旭地区)。有間集落から東側の矢作川と道路に挟まれた平坦な場所に境内がある。主要社殿は矢作川に沿って平行に配置されており、舞台は本殿と拝殿の中心軸線上に相対するように東向きに建てられている。舞台の建立年代は、上手太夫座上段の鏡柱に「明治二十一年子十一月二十六日」年号、「明治二十八年」年号の墨書が残り、明治21(1888)年には建立されていたことがわかる。その後、昭和47(1972)年に改築(木札)、平成3(1991)年3月にも松板張替や基礎コンクリート打ち等の改修が行われた。また、もとは入母屋造、茅葺、平入の舞台であったが、大梁から上の小屋組が扠首組から束立て式構造に変更されて、屋根が茅葺から桟瓦葺に造り変えられている。舞台規模は、桁行14.560m、奥行8.190m、舞台高0.870m。舞台正面には大虹梁が入れられ、左右に張り出された太夫座に格子窓が開けられている。現在、舞台内部の後半部分は和室8畳を3室並べた集会所に改造され、上手太夫座の外側には幅2.73m、奥行4.02mの湯沸室が下屋として増築されている。この舞台には、2つの特徴的な舞台装置がみられる。1つは上回し式の回転装置である。二重台4台を田の字型に組み合わせて、中心に軸を取り付けて固定し回転させる装置である。もう1つは「ふすま落とし」といわれるもので、舞台の中央に細長いスリットを開け、背景を瞬時に替えることができる装置である。この舞台は、小屋組や集会場への改造が施されているが、旭地区では大型で舞台機構も本格的なもので価値が高い。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻453ページ