心月院鈴木正三坐像

 

(しんげついんすずきしょうさんざぞう)

【美術・工芸】

心月院(則定町)所蔵。像高26.6cm、檜材寄木造、内刳、玉眼、彩色。本像は像底に像主・鈴木正三の命日が朱書されるとともに、台座裏に延宝9(1681)年に制作されたことがうかがえる墨書があり、正三の遷化から26年後に制作された像であることがわかる。江戸時代に制作された正三の肖像彫刻は計6体確認されているが、本像は晩年の姿をあらわす作品で、僧服に環付きの袈裟を着けた姿で結跏趺坐し、両腰脇に拳をあてて正面を向く姿であらわされており、仁王禅に入っている正三をあらわすものとみられる。写実性に富む作品で、小像ながら実在感に満ちた肖像彫刻である。九州国立博物館で行われたX線CTスキャン装置を用いた光学的調査により、像内には紙に包まれた納入品が存在することが明らかにされている。市指定文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻90・149ページ

→ 鈴木正三