(しんせき)
【民俗】〈社会生活〉
当人(自己)を基準にした父方・母方の親等をたどる親族をシンセキ(親戚)、シンルイ(親類)といった。親戚との関係は世代が下がるごとに薄く(遠く)なり、当人の死亡から一定経過したときに関係が絶えるとされた。人生儀礼、年中行事、農作業、家普請、日常の貸し借りや交際などの際の親戚とのつきあいは、濃い(近い)、薄い(遠い)の度合いによって行われた。葬式の場合、葬式親戚などといって範囲が一番拡大され、出産や結婚などのつきあいは身内や濃い(近い)親戚の範囲に限定された。祭りに親戚を招きあい、馳走する慣習もあった。市域では初盆の時、故人の子ども、兄弟姉妹の濃い親戚が提灯や灯籠を贈る習わしがあり、八草や篠原(保見地区)の禅宗系の寺院の施餓鬼供養には、マクラといって故人が男なら三角の布、女なら四角の袋に米を入れたものを親戚が持ってきて供えた。山間部ではオキモリオヤといって親戚に仲人親を依頼した。〈社会生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻545ページ、16巻504ページ