神明社本殿(時瀬町)

 

(しんめいしゃほんでん)

【建築】

時瀬町(旭地区)。社伝によれば、本殿の建立年代は、享保11(1726)年と伝える。本殿は棟持柱を持つ神明造であるが、構造は桁行1間、梁間2間の切妻造、平入で、後半部分を内陣、前半分を流造の庇のように扱っている。軒は一軒繁垂木とし、屋根は板葺で箱棟を載せ、その上に堅魚木4本と置千木を置く。破風の拝みには蕪懸魚を吊り、両脇に4本の鞭掛を付す。身舎柱と棟持柱は円柱、庇柱は面取角柱として、土台上に立つ。身舎の柱間には四周に縁長押・内法長押・頭貫を廻らし、頭貫端を木鼻として出す。柱上には出三斗を載せる。側背面の柱間は横板壁とする。正面の柱間は敷居と鴨居を通し、小脇羽目と幣軸を組んで、両開き板唐戸を吊る。身舎の正側三方には切目縁を廻らし、縁側面の後端に脇障子を設け、正面に木階5級を置く。庇の柱間には、柱頂に頭貫虹梁を渡し、頭貫端に木鼻を出す。柱上では連三斗を載せ、中備に蟇股を配す。身舎の妻側2間の柱間には、斗栱上に虹梁を渡し、この虹梁上に円束を立てて扠首を組み、束上に大斗実肘木を置いて化粧棟木を受ける。また、束頂の桁行には木鼻を出す。円束と棟持柱が立つ棟筋と身舎正面の柱筋は一致しておらず、身舎の正面が棟筋より若干前へ出て納まり、身舎の前には棹縁天井を張る。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻250ページ