(しんめいじんじゃとうせいこまいぬ)
【美術・工芸】
阿形高さ21.7cm 吽形高さ21.7cm。宝暦6(1756)年銘。鎌倉・室町期の狛犬と比べ特徴的なのは、胴部が太く成形され轆轤成形痕が確認できることであり、成形技術上の相違が指摘できる。本作品以外にも、江戸期の陶製狛犬には、成形・調整において轆轤が使用されていると判断し得る作品が多く見出せる。表現としては、獅子ではなく明らかに日本犬を表現している。体部背面と隅切四方形の底板裏面には、銘が刻書される。体部背面に「東濃恵那郡 野原村 神明宮 奉寄進 願主同村 (吽形では「同村願主」)堀六助」、底板に「濃州可児郡大ひら村(吽形では大平村)加藤柳右衛門景定作宝暦六年丙子之十一月吉日」と発注者・製作者が記載される。大平村は、現在の岐阜県可児市大平であり、近世の窯場として知られる。同工品と推測される作例として「宝暦癸未(筆者註:13年) 大平 加柳作」銘の黄瀬戸釉水指が存在しており興味深い。市指定有形民俗文化財。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻453ページ