(しんらんえでん)
【古代・中世】
親鸞(浄土真宗の祖)の生涯を全4幅全15段に分けて描く内容を基本形とする大幅掛軸。もとは親鸞の曾孫覚如(1271~1351)が制作した親鸞の生涯を絵と詞書でたどる絵巻物「親鸞伝絵」であったが、後に絵と詞書を分割し、詞書のみをまとめたものが『御伝鈔』(巻子・冊子)となり、絵の部分をまとめて掛幅装にしたのが「親鸞絵伝」である。室町時代前期までは3幅本・6幅本などで特色ある内容の絵伝も存在したが、戦国時代に形成された本願寺教団を中心に4幅本が定型化した。江戸時代以降は真宗寺院本堂の整備に伴い、本山から授与されることがはっきりと定められた。ただし、本堂の余間に掛けるため余間の大きさに合わせ2幅・1幅にまとめたものも現代に至るまで存在する。また、内容も全15段を基本とするが、本願寺以外の真宗各派の絵伝ではまたそれぞれの由緒に基づく内容が加味されて描かれている。軸裏には本山許可の年次等が記される。市域には如意寺(力石町)の親鸞絵伝(3幅本、国指定文化財)などがある。
『新修豊田市史』関係箇所:6巻354ページ