親鸞像

 

(しんらんぞう)

【古代・中世】

真宗寺院では、本堂内陣において本尊阿弥陀如来を安置する宮殿(くうでん)の右奥の厨子内に親鸞の絵像を安置することが定められている。この親鸞像は黒衣・墨袈裟を着し、首に白い帽子(もうす)を巻き、数珠をつまぐり礼盤(もしくは上畳)の上に向かって斜め左向きに座す像容で、画面上部に聖教文を記す讃、左部に「和朝親鸞聖人」の銘を記す様態を基本形とする(明治9〈1876〉年以降の銘では「見真大師」とするものがある)。戦国・江戸時代以降、本山より授けられるものであり、真宗寺院には必ずある「常住物」である。軸裏に、本山の誰がいつどこの誰に授けたかを記す裏書が現存していれば、それは寺院の歴史における貴重な同時代史料となる。なお、徳念寺(駒場町)が所蔵する正面向きの親鸞像は、本願寺の御坊寺院(現別院)格に掛けられる特別な像容のものである。礼盤の狭間も通例は二狭間のところが三狭間になっており、これも特別な様態である。

『新修豊田市史』関係箇所:21巻188ページ

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