水系網

 

(すいけいもう)

【自然】

河川は水源から河口に至るまでただ1本の流路からなるものはなく、多くの流路が集まって合流を繰り返しながら、しだいに大きな河川となる。地形図から流路の部分だけを抜き出してその平面的配置状態を表したものを水系図または河系図という。流路の幅を無視して一連の線分によって表した流路の連絡網を水系網という。水系網は、河川の本流と支流のすべてを含めた総称で、共通の流出口をもつ流路の集合体で、例えば国土地理院発行の5万分の1縮尺地形図の場合、実際には水流があっても、川幅が1.5m未満の流路は水線記号(青色の線)としては表現されていないことから、等高線の屈曲の状態から上流側に向かってすこしでもへこんでいる谷の部分を最大限に追いかけて、水線を延長して、水系密度や水系頻度など水系網の特性を定性的、定量的に知ることができる。水系の平面形は、下流側に至るほど流路が収斂しゅうれんし、少なくなる傾向があるため樹木のような形をしているが、三角州上などでは流路が枝分れして分流路を生ずる。厳密な意味での水系は、同一系統に属する地表水の総称で、その主体は河川であるが、湖沼を含む場合もある。狭義の水系は、湖沼を含まない。矢作川の水系網は、一般的な河系模様として樹枝状河系となっている。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻229ページ