(すいしつそせい)
【自然】
水質の地域的差異は、その地域の地質、降水量などの自然条件と土地利用、水利用などの人為的条件の違いを反映している。ある地点や地域の河川水、地下水などの水質について把握し、解釈するための手法の1つとして、溶存成分中の個々の成分について、その量や成分比を水質組成として図化することにより表す。陽イオンNa++K+、Ca2+、Mg2+、陰イオンHCO3-、Cl-、SO42-、NO3-について、それぞれの成分の重量(mg/Lあるいはppm)を原子量もしくは分子量で除した値をmeq/Lで示し、算出された値や陽イオン、陰イオンそれぞれの合計を100%として個々の成分が占める割合を用いて図化することで水質の特徴を読み取る。図(上)および図(中)は、それぞれ市域における河川水、地下水の水質組成の分布をヘキサダイヤグラムで示したものである。また、図(下)は、地下水の水質組成についてキーダイヤグラムで示したものである。ヘキサダイヤグラムは形の違いから地点、地域間の水質の差異について比較検討することができる。キーダイヤグラムは成分比の違いによって図中にプロットされる場所から比較検討することができる。キーダイヤグラムは、成分比によって作成されるため、示し方によっては濃度を反映していない場合がある。図(上・中)から、地域によって河川水や地下水の水質組成に地域的差異が存在することがわかる。また、河川によっては上流と下流で水質組成が異なることを示しており、このような水質の差異が生じた原因については、例えば地質の分布、土地利用の分布などとの関係からその原因を探る必要がある。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻257・273・282ページ