スクレイパー

 

(スクレイパー)

【考古】

剥片に刃付けのための二次加工が加えられた打製石器の一つで、石器が用いられていた時代の道具として地域を問わず普遍的にみることができる。素材となった剥片の形も、二次加工が施された刃部の位置もさまざまである。刃部の形には、直線状のものや内湾しているもの、外湾しているもの、それらが組み合わされたものなどがある。刃付けのための二次加工は主剥離面から正面に向かって施されるものが多いが、縄文時代早期には正面から主剥離面に向かって行われているものもみられる。こうした二次加工は片側だけにみられるものが多い。後期旧石器時代から縄文時代草創期にみられる石刃の短辺に弧状の刃部を作出した掻器(エンド・スクレイパー)や剥片の長辺に刃部を作出した削器(サイド・スクレイパー)もスクレイパーに含まれるが、刃付けが行われた不定形な石器の総称として用いられることが多い。機能としては、対象物を削ったり対象物の不要な部分を掻き取ったりすることやナイフのように切ることが想定されている。削器は挙母地区の上原遺跡や上郷地区の川原遺跡、松平地区の酒呑ジュリンナ遺跡(写真:長さ6.0cm)などで、掻器は挙母地区の大明神B遺跡や梅坪遺跡、酒呑ジュリンナ遺跡で発見されている。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻44ページ

→ 削器掻器