石製模造品

 

(せきせいもぞうひん)

【考古】

古墳時代にみられる軟質な滑石などの石材で玉類などを模して作られた非実用的な石製品。古墳時代前期末に出現し、当初は玉類や農工具などを忠実に模した製品が中心で、主に古墳の副葬品として用いられた。古墳時代中期になると粗製化がすすみ、祭祀具として用いられるようになる。鏡の模造品である有孔円板や勾玉形・剣形・管玉形・刀子形・臼玉などの種類があり、集落内の祭祀遺構や祭祀遺跡などから出土する場合が多い。市内では、神明遺跡の祭祀遺構であるSX209から臼玉90点と管玉形1点、SX201から臼玉65点と有孔円盤1点が出土したほか、竪穴建物跡から剣形・勾玉形・管玉形などが出土している。また、上郷地区の水入遺跡では矢作川から導水した古墳時代中期の大溝が検出され、大溝内や段丘崖から土器類などの遺物とともに、臼玉117点、有孔円盤3点、剣形4点、勾玉形1点、管玉6点の石製模造品が出土していて、主に水辺の祭祀に用いられたと考えられている。このほかに、梅坪遺跡や寺部遺跡、堂外戸遺跡、矢迫遺跡、本川遺跡などでも石製模造品がそれぞれ数点出土しており、古墳時代中期の有力な集落では共通の祭祀が行われていたことを示している。また古墳では、三味線塚古墳の墳丘上から管玉形2点、周溝内から有孔円盤1点、勾玉形1点、臼玉3点が出土している。写真は市内寺部・神明・水入遺跡出土の石製模造品。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻305ページ、19巻247・274・739ページ