(せととうどそう)
【自然】
岐阜県東濃地方から土岐市、多治見市、愛知県瀬戸市、豊田市にかけて露出する粘土層や砂層で、陶磁器の原料(陶土)として採掘されている。石英の粒を含む粘土は蛙目(がいろめ)粘土、亜炭片を含む粘土は木節(きぶし)粘土、雲母を含む粘土はキラ、ほとんど石英の粒からなる砂は珪砂(けいしゃ・けいさ)などと呼ばれる。豊田市では主に、猿投山南麓の丘陵に露出する。2000~1600万年前(新生代新第三紀中新世の前期)、ユーラシア大陸の東縁に割れ目が生まれて広がり、日本海ができた(日本海の拡大)。太平洋側に押し出された細長い大陸縁辺部は弓なりに曲がって日本列島となった。それ以降、500万年ほどの間、日本列島は侵食され平坦化していった。1000~600万年前(新生代新第三紀中新世の中頃)、この地方には浸食平坦化された緩やかに起伏する平原が広がっており、直径10kmほどの湖沼(水溜り)が各所に散在していた。この水溜りに、周辺の風化した花崗岩類から土砂が流れ込み、堆積したものが瀬戸陶土層である。その環境は、それぞれの地層の観察や解析に基づいて、湖沼の底には均質な粘土層、波打ち際には木節粘土層、湖沼に流れ込む小河川の川筋(氾濫原)には蛙目粘土層、そして、上流の扇状地の周辺には珪砂層が堆積した。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻17ページ