(せゆうとうき)
【考古】
釉薬を器体に塗布または漬けがけしてから窯で焼成した陶器。草木灰に長石などを配合した灰釉やそれに鉄を混ぜて褐色系にした鉄釉、鉛・銅などを原料として緑色に発色する緑釉などがある。灰釉陶器と緑釉陶器は9~11世紀代の猿投窯で量産され、市域では須恵器に代わって古代の集落などに流通した。このうち灰釉は鎌倉時代の古瀬戸にも引き継がれ、中・近世の椀・皿類では最もよく目にする釉薬となった。一方、14世紀中頃の瀬戸窯で登場した鉄釉の一種である錆釉は、擂鉢などのにぶい暗褐色を呈する生活雑器類として大窯期にかけて生産され、中世の集落や戦国時代の城館に広く流通した。また大窯期の末期には白色の長石釉が美濃窯で開発され、志野の小皿などが戦国時代末期~江戸時代初めの遺跡から出土している。
『新修豊田市史』関係箇所:12巻153・445・661ページ