善導像

 

(ぜんどうぞう)

【美術・工芸】

善導は唐時代の中国で活躍した僧で、浄土宗にあっては浄土教の第三祖、浄土真宗にあっては第五祖に数えられる。浄土三部経のうちの『観無量寿経』を注釈した彼の『観無量寿経疏』から深い影響を受けて法然が浄土宗を開宗したことから、浄土宗寺院では本堂に法然像と善導像の木像または画像を一対でしばしば安置する。善導を単独で描く画像の特徴としては、長安の光明寺で念仏を唱えた彼の口より化仏が涌出したさまを描くことや、法然が夢の中で出会った善導の姿にちなみ半身(多くは下半身)を金色で表すことなどが挙げられる。前者は南宋時代の中国で制作された善導像にすでにみられる特徴だが、後者は日本の浄土宗により付加された特徴とされる。ただし浄土宗における浄土五祖像や浄土真宗における七高僧像のような高僧連坐像ではそうした神秘性を帯びた特徴は描かれないことが一般的である。市域での善導の単独像について、浄土宗寺院が所蔵する例は確認されない。いずれも真宗大谷派寺院の、善導寺(国谷町)に室町時代に制作された倚像(写真)および江戸時代に制作されたその写し、増慶寺(野口町)に江戸時代に制作された倚像が、それぞれ確認されるのみである。いずれも口中より化仏を涌出するが、半金色身としての表現はない。


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