葬式の互助

 

(そうしきのごじょ)

【民俗】〈人の一生〉

葬式の際は地縁集団のムラ組が手伝うのが一般的で、伊熊(旭地区)では10軒くらいで構成する組の者が喪家に集まり、伍長の指図で役割を分担した。組が複数集まって手伝いをすることもあり、和合(下山地区)ではシニ組と称した。猿投(猿投地区)には10の組があり、喪家の組からは夫婦で出て受付や食事の準備をし、隣の組からは男が出て穴掘りをした。旭地区や小原地区のカモン、市域平野部のイットウは先祖を同じくする同族と呼ばれる集団で、組と一緒に葬式を手伝った。高岡地区ではイットウの先祖祭祀が盛んで、葬式の手伝いも単独で行った。西岡ではイットウの長老が葬式全体を指図し、中根では夫婦で手伝いに集まり、ホンヤシンヤ関係の人がソウ(死の連絡)、火葬場の準備、棺の準備、買い出し、葬具の製作の役割を指図した。こうしたムラでは転入者はイットウに入っていないと葬式ができず、堤ではどこかのイットウに入れてもらったという。〈人の一生〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻642ページ、16巻585ページ