相続

 

(そうぞく)

【民俗】〈社会生活〉

家を相続する者をアトトリ(跡取り)、アトツギ(跡継ぎ)といい、相続は親が亡くなってからのいわゆるシニユズリ(死に譲り)が一般的であった。相続には3つの方法がみられた。1つ目は長男子が跡取りとして家を継ぐ方法で、豊田市全域でみられた。家を出ていく者は、家を継ぐ者に遠慮して「跡は上手にやってもらわないといかん」といい、遺産相続を放棄することがふつうであった。2つ目は実子が女子だけの場合に婿養子を迎えて婿が家を継ぐ方法で、婿を迎える娘をヨウシムスメ(養子娘)といった。婿養子を迎えるのは長女が多く、山間部の多くのムラで確認できた。3つ目は実子がない場合で、養子を迎えて跡を継がせた。この場合、幼い子を養子に迎えて育て、嫁か婿を迎える場合と、両もらいといって、婿と嫁を一度に迎えて跡を継がせる場合とがみられた。両もらいはどちらかが親戚に当たる場合が一般的であった。〈社会生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻538ページ、16巻499ページ、17巻588ページ