雑煮

 

(ぞうに)

【民俗】〈食生活〉

市域の一般的な雑煮は、煮干しか鰹節でだしをとったすまし汁仕立てで、角餅を焼かずに入れて煮込み、餅菜(正月菜、フクタチ菜とも)の具に削り節をかけただけの簡素なものである。餅が鍋にくっつかないよう、餅菜は下に敷いた。かつてはたいていの家で、正月三が日の朝は雑煮を食べ、この時、マメノキ(大豆ガラ)で炊くと魔除けになるといった伝承もある。雑煮を作るのは男(家長)の仕事で、女は正月の間は仕事をしてはいけないという家もあった。餅菜は正月に合わせて、10月中旬頃に種を播いた。小原地区では切り餅を茹で、砂糖と醤油、煮干しのだしを煮てとろみをつけたタレをかけ、板かまぼこと豆腐を入れた雑煮が作られた。この餅は少し薄く伸し、5cm×3cmくらいに切ったもので、豆腐と一緒に茹でておいた。菜っ葉類は入れず、削り節をかけて食べる。こうした雑煮は岐阜県東濃地方でも作られており、交流が頻繁であったことがうかがわれる。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻337ページ、16巻340ページ