(そせき)
【考古】
寺院などの建造物の柱を受ける土台石。礎石建物は竪穴建物や掘立柱建物とは異なり、仏教の伝来とともに中国大陸、朝鮮半島から伝わってきた建物で、発掘調査で検出される礎石建物跡は、土坑内に据えられた状態の礎石、あるいは礎石そのものは抜き取られてしまい根石のみが残された状態で発見されることが多い。仏塔の心柱を受ける心礎には格別大型の石が用いられ、舞木廃寺の塔心礎の柱座には環状溝が彫られている。長興寺の墓地内にも円形柱座のある礎石(写真)が残っているが、禅宗寺院建築の礎石とは形態が異なるため、別の古代寺院の礎石が持ち込まれたのではないかと指摘されている。足助町真弓山城跡の本丸曲輪からは小屋掛け建物の礎石、猿投町龍性院の客殿跡からは礎石抜き取り穴の根石、七州城跡本丸南西櫓では石垣に沿った塀の礎石が確認されている。
『新修豊田市史』関係箇所:20巻72・87・192ページ