大気汚染

 

(たいきおせん)

【自然】

大気汚染とは人類の生産活動、および社会活動によって排出される大気の汚れのことであり、対流圏の大気中に硫黄酸化物(Sox)や窒素酸化物(NOx)が大量に大気中に放出された結果、生態系が破壊されて人類の健康にも被害が及ぶようになってきた。我が国では、1960年代から固定排出源である硫黄酸化物の排出量が改善されてきたが、移動排出源の自動車や航空機等の交通機関による窒素酸化物、および二酸化窒素(CO2)の排出量は増加傾向にあるのが現状である。また、メタンガスやフロンガスは排出量が限られているものの、地球温暖化への影響が大きいとされている。さらに、地球温暖化による熱帯海域の海面温度の上昇は、ハドレー循環が強化されて下降気流域の中緯度高圧帯の領域面積を拡大し、乾燥断熱減率によって砂漠化が進行するだけでなく、下降気流によって沈降性逆転が形成され、都市大気を閉じ込める役割を果たしている。このため、都市気温の上昇とも密接な関係がある。特に、三河山地沿いの豊田市は、中心市街地が盆地的要素をなしているため風が弱く、矢作川に沿う海風前線地域にあたることから大気汚染物質が停滞しやすい特徴がある

『新修豊田市史』関係箇所:23巻151・176ページ