(だいく)
【民俗】〈住生活〉
かつては大工になろうとした場合、親戚や知り合いから大工の親方を紹介してもらう必要があった。承諾がでると、その家に兄弟弟子とともに住み込むか、家が近い場合は通いもあった。最初は下働きで、親方や兄弟子たちの仕事をみて少しずつ大工技術を覚えていったが、報酬はごくわずかだった。月の休みも1日と15日の2回程度で、休日は挙母の町に出かけて映画をみるくらいが楽しみだったという。修業期間は5年ほどで、その後1、2年はお礼奉公をした。独立すると3、4人一組になって仕事をした。仕事場は徒歩か自転車で通える近隣が多く、遠方のときは泊まり込むこともあった。工務店に勤務した場合、日当制や手間請けで仕事を行った。手間請けは、大工個人が坪単価で仕事を請け負う方法で、材料は会社が用意し、大工は手間と金物(釘やボルト)を提供した。大工は個人で仕事を進めるが、建前など人手が必要なときはユイのように互いに応援した。〈住生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:16巻422ページ