大師信仰

 

(だいししんこう)

【民俗】〈信仰〉

弘法大師空海に対する信仰。市域では、毎月21日の月命日や祥月命日の3月21日の縁日、「写し霊場」ともいわれるミニチュアの八十八ヶ所霊場の祭祀などがみられる。小原北の上組と東組にある庚申堂には弘法大師像があり、旧暦3月21日にお祭りをし、アンコ餅、白餅、ヨモギ餅の3種の餅を持参することに決められていた。乙部(猿投地区)では個人が所有している弘法大師像を、旧暦3月21日の縁日に自宅の軒先などに出して地域の人たちにお参りしてもらう「接待弘法」が盛んであった(写真)。お参りのお下がりとして振舞われる菓子や餅などを目当てに、近隣から子ども達が大勢集まった。東郷(小原地区)の小組にはミニチュアの八十八ヶ所霊場があり、四国八十八ヶ所札所の本尊が祀られている。札所の石仏はムラの各戸で祀り、旧暦3月21日の祭りの際には事前に掃除をし、仏様の前掛けや帽子などを新調したりした。〈信仰〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻820ページ、16巻765ページ