台風の進路

 

(たいふうのしんろ)

【自然】

台風は、熱帯低気圧の最大風速が17.2m/s以上に達したもので、発生する地域は主に北緯10~20度、東経110度~150度のフィリピンの北東海上からグアム・サイパンにかけてである。したがって、日本列島の南の海上は台風が発生しやすい地域であり、特に東経130度付近が最も多い。9月に台風の襲来が多いのは、台風が発生する緯度帯が日本列島に近い北緯20度付近にまで達しているからである。台風は北太平洋高気圧の縁に沿って北上するため、発生してから北西進し、その後高気圧の先端で北東に向きを変え(転向点)、偏西風(亜熱帯ジェット気流)に乗って速度を速めて日本列島に接近する。したがって、北太平洋高気圧の勢力が弱い年は、転向点が東側となって日本列島の太平洋側をかすめる経路を辿るが、残暑が厳しい年は大型台風の日本列島への襲来する確率が高くなる。昭和の3大台風である昭和9(1934)年の室戸台風、昭和20年の枕崎台風、および昭和34年の伊勢湾台風は残暑が厳しく、転向点が北緯25度付近であった。日本列島に上陸した過去50年間の台風の特徴は、発生地域が北緯10~15度の範囲の場合には転向点が北緯25度付近、北緯15度~20度では北緯30度付近になる傾向がある。また、伊勢湾岸地域に上陸、もしくは接近する台風は、転向点が北緯30度、東経135度付近の場合が多く、伊勢湾台風がその例である。