(たけざい)
【民俗】〈諸職〉
市域山間部は竹の産地であり、種類にはマダケ(真竹)、ハチク(淡竹)、モウソウ(孟宗)があった。竹はトビ付きの鉈で伐られ、1束の単位をカタ(肩)といった。モウソウの場合は根元から1m余りのところの胴回りを基準にし、1尺であれば1束の本数は1本、9寸は2本、8寸は3本、7寸は4本、6寸は5本、5寸は6本であった。4寸以下の竹はガラと呼ばれ、本数に関係なく直径1尺の束にした。伐採された竹は釣竿、垣根、花筒、土壁のコマイ(木舞)、提灯のヒゴ(籤)、桶のタガ(箍)、漁撈具などに加工され、瀬戸や多治見に近い市域山間部では松割木を束ねるためのタガが生産された。海苔養殖用のノリソダ(海苔粗朶)にするものは枝がついたまま出荷された。桶のタガ用は半田や武豊、ノリソダ用は碧南や高浜へ運ばれ、昭和30年代中頃までは竹材を筏に組んで矢作川を下っていった。竹皮は食品の梱包用、タケノコ(筍)も食材として仲買が扱った。〈諸職〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻85ページ