(だせいせっけん)
【考古】
弥生時代に作られた剣形をした打製石器。打製短剣、打製尖頭器とも呼ばれる。前期~中期頃に使用され、全国的にも出土例が少ない。長さ15cm前後で先端が尖り、槍や剣などの刺突用武器として用いられたとされ、ほとんどがサヌカイト製。市域では寺部町寺部遺跡と石野町東枝下遺跡出土の2例が知られる。前者は残存長11.3cm・幅2.9cm、後者(写真)は残存長13.3cm・幅3.7cmの大きさで、どちらもサヌカイトで作られている。奈良県唐古・鍵遺跡で出土した弥生時代中期の打製石剣は長さ16.8cmの大型品で、14cmの木製剣鞘を伴っていた。サヌカイトの岩脈は東海地域には無く、打製石剣の分布もサヌカイトの流通圏である瀬戸内から大阪湾周辺地域に多いため、市域の打製石剣も畿内方面からもたらされたものとみられる。
『新修豊田市史』関係箇所:1巻164ページ、19巻790ページ