タニシ

 

(タニシ)

【自然】

タニシ科の巻貝の総称で、市内にはマルタニシ(写真)、オオタニシ、ヒメタニシの3 種が生息する。マルタニシは、ツボまたはツボドンと呼ばれ、昭和初期には市内全域でもよく食べられていた。アサリやハマグリがなかなか手に入らない時代に、春の節供料理としてツボとワケギの味噌和えは欠かせない行事食であった。マルタニシとオオタニシは全国的に生息地と個体数が減少しており、市内でも激減している。一方、ヒメタニシは汚濁耐性があり、市内のやや汚れた河川、水路、溜池でも多数生息しており、極めて高密度に群生することもある。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻407ページ

【民俗】〈食生活〉

タニシ(ツボ・ツボドン)は田んぼの水が溜まったところなどにたくさんいて、取ってくるのは子どもの仕事だった。茹でて針で中身を出し、藁灰や塩でもんでぬめりをとった。ツボとワケギの味噌和えは、三月節供につきものだったが、この季節は普段のおかずとしても食べられていた。小原北では、一晩泥を吐かせてから茹でて身を取り出し、薄い味噌汁で煮て食べたという話も聞かれた。大鍋に入れ、醤油味で煮つめて食べることもあった。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻312ページ、16巻363ページ