(ちょうこうじふだかんのんぞう)
【美術・工芸】
室町時代(15世紀)、絹本濃彩、縦98.9cm、横54.0cm、県指定文化財。「絹本着色補陀観音像」の名称で愛知県の文化財に指定された本図は、中国・唐時代の画家である周昉が『華厳経』入法界品より創案したとされる水月観音を描いたものである。滝を背後に岩上で片膝を立ててくつろぐ観音の姿が、観音左上空の韋駄天、観音足下海中の竜の表現ともども、圓生院(奈良県)所蔵の中国・元時代の水月観音像とよく類似することから、本図もまた中国からもたらされた画像に倣って制作されたものと思われる。画面の損傷が著しいが、緻密かつ華麗な表現は室町時代初期の優品と呼ぶにふさわしい。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻228ページ