(ちょうこうじぶつねはんず)
【美術・工芸】
室町時代(1421年)、絹本濃彩、縦229.0cm、横154.5cm、国指定文化財。中央に大きく会衆と動物に囲まれ沙羅樹のもと宝床上で臨終を迎える釈迦、上空に我が子の臨終に立ち会うべく飛来する摩耶夫人を描く、鎌倉時代以降の一般的な形式の涅槃図である。釈迦の肉身を金泥ではなく黄色に彩色する古様な感覚、通常描かれる釈迦への最後の供養者である純陀を描かないことは、本図の特徴的な表現である。画中に「三川州高橋庄集雲山長興禅寺常住」「応永廿八年辛丑結制日幹縁比丘義睦」の墨書があり、応永28(1421)年に義睦なる僧の斡旋により長興寺の什物として制作されたことがわかる。4世住持・岐陽方秀の代のことである。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻216ページ