(ちょうこうじむいしょうげんぞう)
【美術・工芸】
鎌倉時代(14世紀)、絹本濃彩、縦103.7cm、横47.8cm、国指定文化財。長興寺開山・太陽禅師の師である無為昭元の頂相。画面上部には年紀はないものの昭元自筆の賛「学絶与鄰名生/実賓月通犀角/暈華到蜜房春/物外有此不名/物人間有此不/羈人/無為叟昭元書」があり、昭元唯一の自賛頂相として貴重である。肖像は頂相の一般的な形式に則り、法被を掛けた曲彔に坐し、手には竹箆を執る全身像として描かれる。描写は緻密で、写実的な肖像表現がみられる。補筆は少なく、当初の表現をよく留める。昭元は寛元3(1245)年京都に生まれ、東福寺の円爾(聖一国師)の法嗣となり、承天寺(福岡県)、三聖寺(京都府)、東福寺(京都府)、円覚寺(神奈川県)の住持を歴任し、応長元(1311)年宝満寺(神奈川県)で没、東福寺塔頭の東光寺に葬られた。諡号は大智海禅師。軸裏に貼付された墨書に「開基大智海禅師自賛頂相」「現住松巌恵棟欽表装之/于時慶応三年丁卯林鐘/東光禅寺」とあり、慶応3(1867)年時点では東光寺が所蔵、修理していたことがわかる。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻218ページ