釣手土器

 

(つりてどき)

【考古】

縄文土器の器種の一つで、鉢形を基本として口縁部側に釣手状のブリッジが認められる形態の土器。長野県域を含む東日本では、中期中葉に多く認められる。県内では中期後葉~後期初頭にかけての資料が散見され、北設楽郡設楽町の西地・東地遺跡や知多郡南知多町の林ノ峰貝塚などで見つかっている。市内旭地区の大砂遺跡で見つかった釣手土器(写真)は胴部下半が欠失しているものの、ほぼ全形がわかる県内で最も残存状態が良いものである。釣手土器は、その形状や出土状況から祭祀に用いられた土器と考えられ、内面に煤けた痕跡があるため、ランプとして使用されたともいわれている。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻70・131ページ、18巻488ページ