(ディーオー(ようぞんさんそ))
【自然】
DO(dissolved oxygen)は、水中に溶解している酸素(O2)のことであり、自然界では大気中のO2の分圧に比例して水中に溶解している。水域の主な酸素の供給源は大気にあり、また、表水層における植物プランクトンの光合成により供給されている。一方、水中の酸素は、動植物やバクテリアなどの呼吸、化学物質の酸化などによって消費される。湖の表面付近のDOは、植物プランクトンの活発な光合成で過飽和になれば大気中に放出され、有機物の分解などで不飽和になれば大気から補給される。水温成層が形成される夏季の停滞期では、表水層で光合成が活発に行われる。さらに深くなることで減衰する光に伴い光合成量も減少し、無光層(光合成生物の成長にとって光が不足する深さ以深)になると呼吸・分解作用が上回り、時間とともに溶存酸素量が減少し、さらに著しい時はほとんど消失(貧酸素層の形成)し、場合によっては無酸素状態になる。深水層への酸素は、全循環による湖水混合によって供給される。淡水湖と異なり、直接的あるいは間接的に海水が侵入している汽水湖や、塩湖では、溶存成分濃度が湖水の密度に大きく作用する。深水層の継続的な停滞は、不完全な湖水循環とこれに伴う深層へ溶存酸素が供給されず、継続的な無酸素層の形成につながる。水深6mほどの鉛池(大池町)の深層でも夏季に無酸素層が形成されている。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻293ページ