鉄滓

 

(てっさい)

【考古】

製鉄・鉄器生産の過程で生じる廃棄物。鉄滓は、製鉄の際に出る製錬滓、製錬された鉄から不純物を取り除く際に出る精錬滓、鉄を加熱して加工(鍛錬鍛冶)する際に出る鍛錬鍛冶滓などに分けられる。市域で鉄滓が出土・採集された遺跡・遺構には、高橋地区岩長遺跡のSB214(7世紀中葉)・寺部遺跡の12B区SE01(13世紀)、旭地区落合遺跡の竪穴状遺構(8世紀末)、足助地区宮ノ後遺跡の第8次調査B区(中世、写真)および第10次調査のSD02(近世)、上郷地区矢迫遺跡のSB03(8世紀末)・三味線塚古墳礫敷遺構(中世?)・神明遺跡のSD209(戦国期)、稲武地区武節城跡の表面採集資料(時期不詳)などがある。現段階では、鉄滓そのものから年代を特定することができないため、参考までに括弧内に共伴遺物から推測される遺構の年代を示した。また鉄滓の種別については、矢迫遺跡SB03出土の鉄滓が炉壁の混じる鍛錬鍛冶滓とされているほかは、いずれも明らかにされていない。


『新修豊田市史』関係箇所:1巻400ページ、20巻322・508・566・598・668・674・676ページ