伝染病予防法

 

(でんせんびょうよぼうほう)

【近代】

政府は明治30(1897)年4月、伝染病予防法を公布した。この予防法ではコレラ、赤痢、腸チフス、痘瘡、発疹チフス、猩紅熱、ジフテリア、ペストの8種を伝染病に指定し、地方長官、市町村長、検疫委員、予防委員などによる伝染病対策を定めた。伝染病もしくは類似症状の患者が出たときの患者取り扱い、清潔法の実施、汚物や死体の処理、船舶・列車での検疫の実施方法、伝染病院・隔離病舎・消毒所の設備、経費負担などを定めた。予防法で新しく設置された検疫委員は府県に官吏・医師・薬剤師から構成される組織で、各郡には検疫委員事務所が置かれ、郡長・警察署長が所長を務めた。東加茂郡には明治31年7月、事務所が郡役所内に開設され、清潔法の実施、衛生委員への講話、伝染病予防策がこの事務所の指示の下各町村で実施された。

『新修豊田市史』関係箇所:4巻208ページ、10巻225ページ