(てんとくじでんじゅういちめんかんのんぼさつざぞう)
【美術・工芸】
像高21.0cm、檜材寄木造、内刳、玉眼、漆箔。本像は、天徳寺(御作町)の本尊として祀られる聖観音菩薩坐像を鞘仏とし、その内部に納められる胎内仏である。頭部は宝髻を結い、天冠台、白毫相をあらわす菩薩形であらわされ、覆肩衣に衲衣を着け、腹部の襟際に裙をのぞかせて結跏趺坐し、両手は腹前で右手を上に定印を結ぶ。本像は寺伝では十一面観音菩薩とされるが、宝冠釈迦如来像として制作されたものと考えられ、定印をあらわす両手の中心にある孔が宝塔を載せるためのものであったならば、弥勒菩薩像として制作された可能性も考えられる。室町時代の院派仏師の作とみられる。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻9・61ページ